Creepy Nutsの「のびしろ」は、大人になる過程で誰もがぶつかる“自分との付き合い方”を描いた、等身大の成長ソングです。サボること、甘えること、逃げること、言い訳――かつて否定していた行為を「覚える」ことで、大人になっていく。そんな“未完成なまま成熟していく姿”が、圧倒的なリアリティとユーモアで描かれています。
🌀 サボることも、逃げることも「技術」になる
サボり方とか 甘え方とか 逃げ方とか 言い訳のし方とか
やっと覚えて来た 身につけて来た 柔らかい頭
冒頭から提示されるのは、“逃げ”や“サボり”といった否定的に見られがちな行動。しかしそれを「覚えてきた」と肯定的に捉えることで、「柔軟さ」や「しなやかさ」といった大人の余裕を獲得してきたことがわかります。
🎭 カッコつけることすら学びになる
カッコのつけ方 調子のこき方 腹の据え方 良い年のこき方
見栄を張ることや、堂々と構えること。年齢を重ねる中でそれもまた“身につけていくもの”として語られます。「良い年のこき方」という表現には、自虐と達観が同居しています。
🏙️ 東京の風景とともに、自分の現在地を知る
隅田川にかかる 勝鬨橋を渡る
左手にスカイツリー 右手に東京タワー
俺はその真ん中
東京の名所を“左右に眺めながら”自分がその真ん中に立つ――という情景は、まさに“過渡期”を象徴しています。「昔の自分」でも「理想の自分」でもない、“今ここにいる自分”の立ち位置を俯瞰するような視点です。
💡 成長とは、強さの獲得ではなく“幅”の広がり
他人に期待をしないのが今の俺の強み
手負いでも進める距離なら行くぜ 騙し騙し
成熟とは、完璧になることではなく、“どうにかやっていく術”を覚えること。うまく騙し騙しでも、歩けるなら歩く。それを「強さ」と定義し直す視点に、人生経験のリアルがにじみます。
🧠 「のびしろ」しかない——自分を否定しない希望の言葉
覚えたい事が山のようにある…のびしろしか無いわ
俺らまだのびしろしかないわ
どれだけ年を重ねても、“まだ未熟”“もっと学びたい”という感覚を持ち続けること。これをネガティブではなく、ポジティブな「のびしろ」と言い切ることで、曲はリスナーに前向きな余白を与えてくれます。
📝まとめ|“ポンコツ”のまま生きることを肯定する
Creepy Nutsの「のびしろ」は、かっこ悪くて、だらしなくて、でもそれが“等身大の自分”だと受け入れる過程を描いています。
19歳の頃に「ついに来たか」と感じたあの頃より、今の方がずっと清々しい――そんな実感を持てるようになるまでの時間の経過も、丁寧に歌われています。
完璧じゃないからこそ、まだまだのびしろがある。そんなふうに思える自分を、少しだけ誇らしく感じられる1曲です。
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