【韻解説】Creepy Nuts「LEGION」|“俺自体が集団”という自己分裂×自己拡張のアンセム

Creepy Nutsの「LEGION」は、「俺」という一人称を拡張し、“自分自体が軍団(レギオン)” という壮大な自己比喩で展開される楽曲です。
単なる自慢やマッチョな自己主張にとどまらず、多重人格的・多面体的なアイデンティティを韻で繋ぎながら提示しています。


🎯 1. 冒頭の連続構文による縦揃え韻

俺自体がCREW 俺自体がSQUAD
俺自体がMOB 俺自体がGROUP
俺自体がFAMILYであってTEAM
俺自体がCYPHER We like the Wu

  • 「俺自体が〜」の反復でリズムを固定。
  • “CREW / SQUAD / MOB / GROUP / TEAM / Wu” と英単語を立て続けに配置し、母音 “u” 系で揃える縦の脚韻。
  • 「Wu」はWu-Tang Clanへのオマージュで、自己をヒップホップ集団そのものと重ねるメタ構造

🎯 2. 同義語列挙と母音統一

俺自体が寄り合い組合
俺自体が押し合いへし合い
俺自体が群 俺自体が衆
俺自体が結社 時代が来る

  • 「寄り合い組合」「押し合いへし合い」「群」「衆」「結社」と、集団性を表す同義語を畳み掛ける
  • 「合い / 衆 / 来る」など、行末で母音を揃えつつ、リズムの区切りを強調。

🎯 3. 自己完結型ラッパーの宣言と七色韻

客演要らずとは俺の事
七色のフロー 七色の思考

  • 「フロー / 思考」でo 韻を形成。
  • 「七色の〜」の反復でリズムとインパクトを倍増。
  • “客演要らず” は、コラボ不要=自分の中に無限のキャラクターが存在することのメタファー。

🎯 4. 多重人格表現と内部韻

右脳左脳割れアンビバレント
首脳会議今インサイドヘッド

  • 「右脳 / 首脳」で内部韻、さらに「アンビバレント / インサイドヘッド」で語感の近さと意味的繋がり
  • 「インサイドヘッド」はピクサー映画『Inside Out』を指し、頭の中で複数の人格が会議しているイメージ。

🎯 5. 数字と時間感覚のフロウ

頭ん中タコ揉め24
yeah yeah 仲間割れ24

  • 「24」の反復で、24時間体制の混乱と葛藤を強調。
  • 同じ語尾の繰り返しは、英語圏ラップのhook的手法。

🎯 6. 生物進化メタファーと脚韻

元はオタマジャクシの一等賞
全員分の思い背負った一人っ子

  • 「一等賞 / 一人っ子」で “-っこ / -しょう” の近似韻。
  • オタマジャクシ→カエルという生物進化と、「背負う」使命感を結び付け、個の中の群の記憶を表現。

📝 総評

「LEGION」は、韻の技術だけでなく語彙選択・同義語反復・母音統一によって、“一人の中に多人数がいる”というテーマを立体的に構築しています。

  • 縦揃え韻で団体感を可視化
  • 同義語列挙でテーマを過剰強調
  • 内部韻と語感の近さで流れるような多面性を演出

結論: 「LEGION」は、ラッパー自身が「群体」と化す瞬間を、韻で描いた自己拡張アンセムです。

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