絵本『はらぺこあおむし』に着想を得て綴られたこの曲は、Creepy Nutsのこれまでの歩み、そして家族や世代を超えて受け継がれる“物語”を、ユーモアとリアルさで描いた一曲です。印象的なフレーズ「おかわり無料のキャベツ盛りforever」から始まり、貧しかった日々、成長、そして父となった現在が、1本のストーリーラインで繋がれています。
🐛 キャベツの山と空腹が象徴するもの
おかわり無料のキャベツ盛りforever
はらぺこあおむしだったおれら
冒頭の繰り返しフレーズは、過去の“貧乏だったが仲間と笑っていた日々”を象徴しています。お通しのキャベツすら命綱のように思えた若き日の思い出を、ユーモラスに描きながらも、その背後には確かな“空腹=野心”があります。
🧾 ラッパーとしての原点と、仲間との記憶
「はらぺこあおむしやんけ俺らw」
次から次積み上がってく皿
いつかコレを全て変えたる札束
友人たちと居酒屋で過ごした“あの夜”が原風景。皿の数は努力の証であり、その先に「いつかこれを金に変えてやる」という確固たる誓いがあったことが伝わります。
🦋 成長の比喩としての“サナギ”と“羽”
いつの間にか皆の背中には羽が
長いサナギやサラリーを経ての今
“はらぺこあおむし”がやがて羽化して蝶になるように、仲間たちも各々の道で羽ばたき始めています。その中でCreepy Nuts自身は、ラップを“羽”として飛び続けているというメッセージです。
🍼 父親としての視点と、未来へのラブレター
息子はマジなんでもムシャムシャ
絵本はすでによだれでぐしゃぐしゃ
この歌詞はお前らに向けたラブレ…あっ…食うよな
後半では、父となった現在の姿がコミカルに描かれます。愛おしさと慌ただしさのなか、子どもたちへのメッセージ=ラブレターを綴るものの、「食うよな」と絵本を食べちゃう子どもの姿にユーモアを添えています。
🎤 ラッパー=“モグラ”から“パピヨン”へ
地下から日の目見た土竜のうた
クレイジーパピヨンなっちゃった俺ら
アンダーグラウンドで活動していた“モグラ”時代から、今や舞台で自由に舞う“蝶(パピヨン)”となった自分たちの変遷を、動物比喩で表現しています。かつての苦労も、今の飛翔の礎になっていることがうかがえます。
📝 まとめ|“空腹”だったからこそ、今がある
「はらぺこあおむし」は、仲間との日々・成長・父としての愛情と責任を、Creepy Nutsらしい言葉遊びと韻で編み込んだ、感情とユーモアが共存する一曲です。
- 「空腹」は過去の貧しさだけでなく、夢を求める渇望
- 「羽」は音楽を通じて手に入れた自由と表現の象徴
- 「子ども」は過去の自分を写す鏡であり、未来への希望
すべてが一本の物語として重なり合うこの楽曲は、Creepy Nutsの人生観を丸ごと味わえる名曲と言えるでしょう。
🔖 引用について
本記事はCreepy Nuts「はらぺこあおむし」(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞をもとに構成した非公式の解釈記事です。
歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。
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