【韻解説】Creepy Nuts「ビリケン」|幸福を呼び込む神とライムの魔術

Creepy Nutsの「ビリケン」は、大阪・新世界のシンボルであるビリケン像をモチーフに、幸福や成功、そして音楽的快楽を重ねた遊び心満載の一曲です。
R-指定特有の密度の高い押韻と関西的ユーモアが融合し、リズム感と映像感を兼ね備えた作品になっています。


🎯 主な韻パターンと特徴

1. Aメロの連鎖韻

御利益は当然不可避
込み上げる有り難み
お気楽に休み休み
惜しまず振り撒いてる幸

  • **「不可避/有り難み/休み休み/幸」**で母音 [a i] 系を基軸に連鎖。
  • 4行連続で韻を踏むことで、詠唱のようなリズムを作り、「幸福=ビリケン」の呪文性を強化。

2. 母音と子音のハイブリッド韻

無自覚に儲ける money
食いっ逸れる事ナシ
呼び出せば百発百中当たり I’m coming

  • 「money/ナシ/coming」で母音 a i を共有しつつ、語尾の “n” 音で統一。
  • 英語と日本語を混ぜたバイリンガル韻でグルーヴを崩さず展開。

3. サビの反復韻とブランド化

ビリケン足の裏で
ビリケン呼ぶ幸せ
ビリケン踏み荒らして
降らす万券 more than ビルゲイツ

  • 「ビリケン」を韻頭・韻中・韻尾に配置することで固有名詞をブランド化
  • 「幸せ/ビルゲイツ」の母音 [e] 音がサビ全体に共鳴。

4. 固有名詞を使った韻の跳躍

オーガズムに達す better than しみけん

異次元まで道連れ
エクスペリエンス ジミヘン

  • 「しみけん」「ジミヘン」といった有名人物を韻脚に置き、
    連想を飛躍させるパンチラインに。
  • 語感・音感の強さで記憶に残る設計。

5. 中盤の高速マルチライム

履かされた下駄は要らねー
脱ぎ捨て裸足で get a way
ダイハードな日々はマクレーン
突き刺さるガラスの破片
韻も地雷も踏んで前へ
血だらけ茨のカーペット

  • 母音 [a e] と子音 [n/k/p] を軸に6行連続のマルチライム。
  • アクション映画的な映像と音のリズムが完全同期。

6. 大阪ローカルとHIPHOP文脈の融合

西成の兄ちゃん直伝
チビでも BIGMAN Lil Wayne

  • 大阪ローカル(西成)とUSラップスター(Lil Wayne)を並置し、
    ローカルとグローバルを跨ぐ二重のアイデンティティを韻に封入。

🧩 韻構造の全体的特徴

  • **連鎖韻(4行以上の継続)マルチライム(複数音節)**を併用。
  • 固有名詞・英単語をリズムブレイクとして挿入し、展開に緩急をつける。
  • サビは徹底して「ビリケン」の反復で耳に残す。

🎵 まとめ

「ビリケン」は、幸福を呼び込む存在としての象徴を、自らのラップスキルと重ね合わせた曲です。
韻構成は関西的な軽快さと、バトルMCとしての技術を両立。
聴けば聴くほど、音と言葉の中に仕込まれた遊びと精密さが見えてくる一曲です。

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