カテゴリー: 歌詞解説

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「通常回」|“日常”を全力で駆け抜けるラッパーのリアルな生き様

    「毎日クライマックス最終回みたいな通常回」
    この印象的なフレーズで始まるCreepy Nutsの「通常回」は、“当たり前”のように繰り返される日々を、人生の本番=クライマックスとして生きる姿を描いた、等身大の名曲です。

    過去の出来事、仲間たちとの記憶、家庭、ツアー、音楽への想い――。そのすべてを詰め込んで、1回1回の“通常回”を特別なものに昇華していく、Creepy Nutsならではの生き様が滲み出たリリックを紐解きます。


    🎬 「通常回=クライマックス」な人生観

    毎日クライマックス最終回みたいな通常回
    手に汗を握る出番の十秒前

    冒頭のフレーズは、この曲全体のテーマと緊張感を象徴しています。
    「通常回」とは、テレビ番組やアニメでいう“特別な回ではない普通の回”のこと。しかしCreepy Nutsにとって、“普通の一日”こそが勝負の場であり、心拍数が上がる出番直前のような気持ちで日々を生きていると歌っています。


    🧒 原体験と音楽との出会い

    人生変えたんはあの日フラッと入った牛丼屋
    有線で流れた衝撃即走った TSUTAYA

    14歳のR-指定少年が、偶然耳にしたJ-Rapに衝撃を受け、TSUTAYAへ駆け込んだ原体験。
    「アンタらのおかげ狂った14歳」というリリックは、当時のスターたちに影響を受けてラッパーの道を志した、**“始まりの衝動”**を表しています。

    ハイスビードな毎日 俺を乗せて走った9号車
    ばーちゃん見送ったその足で生放送オールナイト

    家族との別れ、生活の現実、走り続ける仕事――
    喜びも哀しみも飲み込みながら、目の前の舞台に立ち続ける覚悟が描かれています。


    🫂 人との繋がりと“音楽の場”への想い

    いつも全員で歌ってる 俺を通り過ぎた人達と
    全員で歌ってる もう二度と会えない人達と

    このパートでは、過去に出会った人々すべてが自分の中に生きているという想いが描かれます。
    音楽の場で再会することはなくても、その記憶と魂はラップを通じて繋がっているのです。


    👨‍👩‍👧‍👦 プライベートの変化と継続する“通常回”

    家族が増えた日
    もう一人増えた日
    んでもう一人増えた日

    家族ができ、父親としての立場を得ても、

    東京ドームでライプ 通常回
    現地集合で現地解散 打ち上げもしない

    と、どれだけスケールが大きくなっても自分たちのスタンスは変わらない
    Creepy Nutsらしい「地に足のついたスタイル」が貫かれています。


    ✈️ 日常がワールドワイドになっても「通常回」

    香港 New York 韓国 どこに居たって通常回
    ターンテーブルとマイク やる事は変わんない

    場所がどこであろうと、自分たちのやるべきこと(=音楽)に一切のブレがない
    グローバルな活躍をしながらも、音楽への向き合い方は純粋でストイックなままです。


    📝 まとめ|“通常回”を特別にする覚悟と愛情

    「通常回」は、派手な演出もない“日常”の積み重ねこそが人生の主役であり、最高のドラマであると教えてくれる楽曲です。

    何気ない日も、誰かと過ごす瞬間も、仕事も、家庭も
    「毎日が最終回のような気持ちで、全力で生きる」

    そんなメッセージが、聴く人の胸に響きます。


    🔖 引用
    本記事はCreepy Nuts「通常回」(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞をもとに構成した非公式の解釈記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「二度寝」|現代社会を漂う大人たちの、苦さと希望のスリープトーク

    Creepy Nutsの「二度寝」は、一見するとポップで緩やかなタイトルながら、その実は過去と未来を行き来しながら、“今”をどう生き抜くかを問いかけるような深いメッセージが込められた楽曲です。

    物語のように進むリリックには、現代社会の息苦しさ、皮肉、そして微かな希望が、夢とうたた寝の間で交錯しています。


    🔁 タイムトラベル的視点と「浦島太郎」モチーフ

    エスケープしてみたい
    このバスに乗って未来へ
    いや、はるか昔

    冒頭のラインから、時代感覚の揺らぎが強調されます。主人公は現代社会に違和感を覚え、「過去にも未来にも逃げたくなる」と語ります。

    oh shit これじゃ浦島
    玉手箱そっと蓋した
    全ては変わってしまってた

    「浦島太郎」のモチーフは、現代に取り残されたような感覚と、価値観の断絶を象徴。変わりゆく時代に適応できない焦りや諦めが滲みます。


    ⚠️ SNS社会への皮肉と「正しさ」の脅威

    warning warning 不適切な語録
    カチカチ気づきゃ火がついてく
    正しさに怯えながら生きる

    ここでは、現代の過剰な正義感・炎上社会への風刺が込められています。「不適切」「火がつく」といった表現は、表現の自由が制限されていく現実を反映。

    それでもCreepy Nutsは、皮肉まじりに「それでも言葉を発する意味」を問い続けます。


    🌙 不安な夜と“誰か”と過ごすやさしい時間

    眠れそうも無いこんな夜は
    眠れそうも無い君と待ちぼうけ

    この繰り返されるフレーズには、現実の重さに潰されそうになりながらも、寄り添う誰かがいることの希望が描かれています。眠れぬ夜を共にする存在が、心の支えになっているのです。

    my beautiful day
    聞かせて列島state of mind

    ここでは、リスナーへ「あなたの心の中(state of mind)を聞かせてほしい」と呼びかけるように、優しさと共感のメッセージが込められています。


    🚀 もう戻れない“おとぎ話”の世界

    竜宮城や鬼ヶ島へ
    数十秒で月の裏へ
    順風そうな御伽の世界には
    もう二度と戻れやしない

    「夢のような世界」からの脱却は、現代に生きることの現実味と、自覚を象徴しています。もう戻れない、でもそれでも前に進まなければならない。そんな苦さと覚悟が描かれています。


    🤝 対話と共存へのラストメッセージ

    笑えてイビキかいて二度寝

    ラストのこの一文には、それでも笑って、眠って、明日を迎えようという温かいメッセージが込められています。

    対立や葛藤を抱えながらも、共に“二度寝”できるような関係性、それこそが今求められているのかもしれません。


    📝 まとめ|「二度寝」は、眠れない夜を生きる私たちのアンセム

    Creepy Nutsの「二度寝」は、諦めと皮肉のなかにほんの少しの希望をにじませる、現代人の心情を代弁する1曲です。

    生きづらいこの時代で、迷いながら、戸惑いながら、それでも何かに縋って前を向こうとする──
    そんな人たちにとって、深く刺さる言葉の数々。

    眠れない夜に、そっと寄り添うような曲です。


    🔖 引用
    本記事は Creepy Nuts「二度寝」(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞をもとに構成した非公式の解釈記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「オトノケ」|死線を越えて、“音”とともに生き直す物語

    Creepy Nutsの「オトノケ」は、命の淵から這い上がり、音楽とともに再び羽ばたこうとする“魂の回復”を描いた壮絶な一曲です。
    ホラーとユーモアを織り交ぜたリリックの裏には、Creepy Nutsらしい鋭いメッセージと生への執念が込められています。


    👻 黄泉と現世をつなぐ、リリカルワンダーランド

    冒頭はまるで地獄の入口。

    諦めの悪い輩
    アンタらなんかじゃ束なっても敵わん

    といった挑戦的なフレーズに始まり、

    貞ちゃん伽椰ちゃんわんさか黄泉の国wonderland

    というホラーキャラクターの名前を織り込んだパートは、死と恐怖、狂気の世界を暗示します。

    呼ぶ声がしたんなら 文字通りお憑かれさまやん…

    “お憑かれさま”という言葉遊びに、Creepy Nutsらしいユーモアと皮肉が光ります。


    🕊 苦しみを超えた先で、羽ばたきが始まる

    ハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタ
    必死で這い出た先で霧は晴れた

    ここは、暗闇の中から抜け出し、生還を果たした瞬間を表しています。

    ココロカラダアタマ
    みなぎってゆく何だか
    背中に今羽が生えたならば
    暗闇からおさらば

    心・身体・頭が一体となり、再び飛び立とうとする姿。
    “羽が生える”という表現は、再生と自由の象徴です。


    🎤 音楽が魂に宿る “オトノケ”

    何度だって生きる
    お前や君の中
    瞼の裏や耳の中
    胸の奥に居着いてるメロディー、リズムに

    “音の気配=オトノケ”が、聴き手の中で生き続けるというメッセージがここに現れます。
    音楽が記憶や感情と深く結びつき、魂の奥に居座る“存在”となっていく様を描いています。


    🔥 賽の河原とチャンバラ、魂のバトル

    今日も賽の河原ど真ん中
    積み上げてくtop of top

    “賽の河原”は、死者が石を積む仏教的モチーフ。
    それを“top of top”へ積み上げるという逆説的なフレーズは、どれだけ地獄のような状況でも道を切り開こうとする意思の現れです。

    the lyrical chainsaw massacre

    リリックで戦う“言葉の殺戮劇”。
    R-指定のマイクスキルがここでも鮮烈に光ります。


    📝 まとめ|闇の中から、音とともに蘇る

    「オトノケ」は、
    死地のような日常を越えて、音楽という力で再び“生き直す”ことを描いた歌。

    Creepy Nutsらしい皮肉や笑いを織り交ぜながら、
    本気で命と向き合い、“暗闇からの脱出”を音楽で表現しています。

    まるでホラー映画の中を突き進むような緊張感、
    そして最後に訪れる静かな救済。

    この曲は、聴くたびに新たな“生”を感じさせてくれる1曲です。


    🔖 引用
    本記事はCreepy Nuts「オトノケ」(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞をもとに構成した非公式の解釈記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【Lyric Interpretation】Creepy Nuts – Harapeko Aomushi|From Hungry Underdogs to Soaring Butterflies

    Inspired by the beloved children’s book The Very Hungry Caterpillar, Harapeko Aomushi (“Hungry Caterpillar”) is a playful yet deeply autobiographical track by Creepy Nuts. Behind its humorous surface lies a story of struggle, ambition, transformation, and fatherhood—all spun with the group’s signature wit and rhythm.


    🥬 “All-You-Can-Eat Cabbage Forever” — A Symbol of Hunger and Drive

    Okawari muryou no kyabetsu mori forever
    Harapeko aomushi datta orera

    These repeated lines represent Creepy Nuts’ younger days, when money was scarce, dreams were big, and even free cabbage at bars felt like a feast. The “hungry caterpillar” is a metaphor for ambition born out of real hunger and humility.


    🧾 Memories of Late-Night Bars and Bigger Dreams

    “Harapeko aomushi yan ke, orera” lol
    Next thing you know, plates stacked up high
    One day, we’ll swap it all for stacks of cash

    Meeting up in cheap izakayas, counting plates instead of bills, R-指定 and DJ 松永 recall their nights fueled by both laughter and quiet determination. The humble beginnings serve as contrast to their current success—but it’s also the soil from which that success grew.


    🦋 From Cocoon to Sky — Growth and Flight

    Wings on our backs before we even noticed
    After long cocoons and salaryman years

    Like caterpillars turning into butterflies, they and their friends eventually found their wings. Creepy Nuts’ wings are lyrical—made of rhymes and beats that now take them across stages, screens, and countries.


    👶 Fatherhood, Drool-Stained Books, and Legacy

    My son munches on everything
    Picture books soaked in drool
    This lyric is a love let… ah, who am I kidding—he’ll eat it

    The song turns unexpectedly tender as R-指定 reflects on his son. Amid deadlines, missed family time, and chaotic parenthood, his perspective shifts from personal ambition to legacy. It’s heartfelt, funny, and all too real.


    🐛 From Moles to Papillons — The Evolution of a Rapper

    From underground moles to crazy papillons
    We’ve finally seen the sunlight

    Once hidden underground, like moles digging blindly toward the light, Creepy Nuts are now “papillons”—butterflies flying freely. The line celebrates not only success, but the absurd and unpredictable journey that led to it.


    📝 Conclusion|When Hunger Fuels Flight

    Harapeko Aomushi is more than just a catchy track—it’s a chronicle of growth. From broke nights in smoky bars to sold-out shows and bedtime stories, the song traces a path of perseverance, reflection, and purpose.

    • Hunger = Ambition
    • Wings = Artistic freedom
    • Children = The mirror of past and future

    With humor, humility, and heart, Creepy Nuts continue to evolve—but they’ll never forget the cabbage.


    🔖 Disclaimer
    This is an unofficial interpretation of the lyrics from Creepy Nuts’ Harapeko Aomushi (Sony Music Labels, 2024). All lyrics and music rights belong to the respective artists and labels.

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「はらぺこあおむし」|あの日の空腹と野心が、羽ばたく今をつくった

    絵本『はらぺこあおむし』に着想を得て綴られたこの曲は、Creepy Nutsのこれまでの歩み、そして家族や世代を超えて受け継がれる“物語”を、ユーモアとリアルさで描いた一曲です。印象的なフレーズ「おかわり無料のキャベツ盛りforever」から始まり、貧しかった日々、成長、そして父となった現在が、1本のストーリーラインで繋がれています。


    🐛 キャベツの山と空腹が象徴するもの

    おかわり無料のキャベツ盛りforever
    はらぺこあおむしだったおれら

    冒頭の繰り返しフレーズは、過去の“貧乏だったが仲間と笑っていた日々”を象徴しています。お通しのキャベツすら命綱のように思えた若き日の思い出を、ユーモラスに描きながらも、その背後には確かな“空腹=野心”があります。


    🧾 ラッパーとしての原点と、仲間との記憶

    「はらぺこあおむしやんけ俺らw」
    次から次積み上がってく皿
    いつかコレを全て変えたる札束

    友人たちと居酒屋で過ごした“あの夜”が原風景。皿の数は努力の証であり、その先に「いつかこれを金に変えてやる」という確固たる誓いがあったことが伝わります。


    🦋 成長の比喩としての“サナギ”と“羽”

    いつの間にか皆の背中には羽が
    長いサナギやサラリーを経ての今

    “はらぺこあおむし”がやがて羽化して蝶になるように、仲間たちも各々の道で羽ばたき始めています。その中でCreepy Nuts自身は、ラップを“羽”として飛び続けているというメッセージです。


    🍼 父親としての視点と、未来へのラブレター

    息子はマジなんでもムシャムシャ
    絵本はすでによだれでぐしゃぐしゃ
    この歌詞はお前らに向けたラブレ…あっ…食うよな

    後半では、父となった現在の姿がコミカルに描かれます。愛おしさと慌ただしさのなか、子どもたちへのメッセージ=ラブレターを綴るものの、「食うよな」と絵本を食べちゃう子どもの姿にユーモアを添えています。


    🎤 ラッパー=“モグラ”から“パピヨン”へ

    地下から日の目見た土竜のうた
    クレイジーパピヨンなっちゃった俺ら

    アンダーグラウンドで活動していた“モグラ”時代から、今や舞台で自由に舞う“蝶(パピヨン)”となった自分たちの変遷を、動物比喩で表現しています。かつての苦労も、今の飛翔の礎になっていることがうかがえます。


    📝 まとめ|“空腹”だったからこそ、今がある

    「はらぺこあおむし」は、仲間との日々・成長・父としての愛情と責任を、Creepy Nutsらしい言葉遊びと韻で編み込んだ、感情とユーモアが共存する一曲です。


    • 「空腹」は過去の貧しさだけでなく、夢を求める渇望
    • 「羽」は音楽を通じて手に入れた自由と表現の象徴
    • 「子ども」は過去の自分を写す鏡であり、未来への希望

    すべてが一本の物語として重なり合うこの楽曲は、Creepy Nutsの人生観を丸ごと味わえる名曲と言えるでしょう。


    🔖 引用について
    本記事はCreepy Nuts「はらぺこあおむし」(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞をもとに構成した非公式の解釈記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「Get Higher」|過去と現在が交差する、等身大の成長記録

    Creepy Nutsの「get higher」は、2024年リリースのアルバム『アンサンブル・プレイ』に収録された一曲であり、
    過去の自分と現在の自分、そして理想と現実の“接続点”を描いた、自己回顧型アンセムとも言える作品です。

    音楽に出会ったあの日から、現在のステージに至るまで。
    この曲は、一人の人間の成長と矛盾を、圧倒的な臨場感で描き出しています。


    🎯 20年前に描いた理想を超えて

    20年前頭に描いた
    理想の自分よりもデッカいな

    曲の冒頭は、自己認識のアップデート。
    10代の頃に夢見た自分像すらも、現実の自分が超えてしまったという、感慨のこもった一節です。

    しかしそれと同時に、過去と現在のギャップに戸惑うような感情も読み取れます。


    🛠 “夢”は更新されていくもの

    将来の夢は医者とかほざいた
    本当にやりたかったのは特殊メイクアップ

    このラインは、曖昧な自己認識から始まった人生を象徴しています。
    当初抱いた夢は形式的なもので、本当に求めていたものは別にあった。

    それを見つけたのが「音楽」だったのです。

    歪なまんま 剥き出しのままカマせって
    声がして

    “ありのままでいい”という音楽との出会いは、
    当時の自分にとって救いと解放だったことが強調されています。


    💬 言葉が人生を変えた

    言葉のメスが切り開いた景色
    脳天にダンクされたフローが medicine

    この比喩的表現は、リリックの力が精神的な癒しになったことを示しています。
    音楽が医療のように作用した──そんなラッパーとしての原体験が、リアルな言葉で語られます。

    また、現実の過酷さ(貧乏、家庭環境)と、それでも諦めなかった「言葉への情熱」も深く描写されています。


    🏆 成功の代償と、現在の“幸せ”

    有名になってった 人権失ってった
    口座は満って 心湯いた

    成功と引き換えに何かを失ってきたという実感も、率直に描かれています。
    お金・名声を得ても、心が軽くなるわけではない──そんな等身大の苦悩も正直に語られています。

    彼女の苗字が俺と同じになった
    ガキのまま親父になった

    そして終盤には、家族ができたこと、人生のフェーズが変わったことへの静かな幸福感が描かれます。


    🕊 “一人じゃない”という救い

    一人じゃ何一つ出来ないや
    でも数万人と get higher

    最終的にたどり着くのは、仲間やファンとの一体感
    一人では無力でも、音楽を通じて数万人とつながることができる──そんな肯定感と感謝が込められたラストです。


    📝 まとめ|“get higher”は人生のライブそのもの

    Creepy Nuts「get higher」は、
    迷いながらも進み続けた人生を振り返り、
    支えてくれた人たちへの感謝と共に歌い上げるアンセムです。

    • 理想を超えてしまった現在
    • 苦しみも幸福も背負ってきた等身大の姿
    • 一人ではなく“数万人”と共に高みへ

    過去の自分へ、そして同じように迷う誰かへ。
    この曲は、“人生そのものがステージ”であることを力強く伝えてくれます。

    🔖 引用

    本記事はCreepy Nuts「エマニエル」の歌詞(Sony Music Labels, 2024年)をもとに構成した非公式の解釈記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「エマニエル」|中毒と快楽の果てで言葉を吐く、“堕ちる”美学

    Creepy Nutsの「エマニエル」は、
    表面的には扇情的なワードが並ぶ楽曲ながら、
    その本質は、表現者としての中毒性、創作の快楽と破滅の境界にあります。

    ヒップホップというジャンルの持つ暴力性・官能性・リアリティを、
    “ニンフォマニアック”=過剰な欲望になぞらえながら描き出す1曲です。


    🌀 エマニエル=言葉に溺れる表現者の象徴

    君ニンフォマニアック
    Feel you like エマニエル elleelle

    この「君」は、恋人や女性ではなく、
    むしろ「言葉や創作そのもの」の比喩と捉えるべきでしょう。

    R-指定が執着し、求め、そして支配される対象。
    つまりそれは“創作欲求”そのものを擬人化したものです。


    🔫 開幕から炸裂する「言葉の銃弾」

    鳩に喰らわした豆鉄砲くらいの勢いやな
    AK-47 や散弾銃

    ここではラップ=銃撃にたとえられ、
    「spit(ラップを吐く)」という行為が、暴力的な衝動として描かれます。

    しかしその威力は、リスナーへの攻撃ではなく、
    “言葉を吐きたい衝動”の暴走としての描写に近いものです。


    💭 “堕ちていく”ことこそ創作のエネルギー

    Red Bull 入れ覚醒し
    月光浴 連絡フル無視

    Z級映画、夜更かし、無視されるLINE。
    どれも人間的な堕落の象徴でありながら、
    それが創作と快感をつなぐトリガーにもなっているという矛盾。

    この曲には、「壊れていくことの中に創作の源がある」という
    Creepy Nutsならではの危うさと美学が込められています。


    👁「お許し」を乞う、狂気と神秘の境界線

    アクセスするアカシックレコード
    あ やべ これはち切れそう もう

    “アカシックレコード”=全宇宙の記録・叡智にアクセスする描写。
    ここでは、創作に憑かれたR-指定が、
    インスピレーションの臨界点に達する様子が描かれています。


    📝 まとめ|言葉に愛され、堕ちることを受け入れた1曲

    「エマニエル」は、Creepy Nutsの中でも特に
    “言葉”と“衝動”の関係性にフォーカスした異色作です。

    • 破壊衝動すら創作の一部にしてしまう危うさ
    • 人間的に堕ちていく姿すら美しく見せる構成
    • 過剰な表現=愛と中毒の結果

    すべてが混ざり合いながら、言葉を吐き出すことの快感が結晶化された一曲です。


    🔖 引用

    本記事はCreepy Nuts「エマニエル」の歌詞(Sony Music Labels, 2024年)をもとに構成した非公式の解釈記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」|“生身”のままで突き抜ける、異次元の自己肯定

    アニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』のOPとして起用され、世界中に“中毒者”を生んだCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」。

    サビのフレーズはもちろん、スピード感とリズム感あふれる歌詞に耳が離せない本楽曲ですが、
    その歌詞にはCreepy Nutsならではの強烈な自負心・アイロニー・そして等身大の肯定感が込められています。


    🧠 冒頭から「バグ」「チート」だらけの自己紹介

    チート、gifted、荒技、wanted
    禁忌、禁じ手、明らか盲点

    この出だしは、いわば「普通の枠組みに収まらない自分たち」の宣言です。
    “チート”や“反則”といったワードを並べることで、既存の評価軸が通用しない才能を象徴的に描いています。

    バグで、まぐれ、認めねーゼッテー
    マジで?コレおま・・・全部生身で?

    周囲からの評価(「あれはまぐれ」「運がいいだけ」)に対し、
    これは“生身”でやってる」と、地力での実力を強調します。


    💪 “生身”というキーワードに込めたリアリティ

    it’s生身 it’s生身 yeah yeah yeah yeah
    生身のまま行けるとこまで

    “生身”という言葉が何度も出てきますが、これは作られたキャラや虚像ではなく、素の自分で戦っているという姿勢の象徴です。

    「キャラを作らず、加工もせず、等身大でここまで来た」
    そんなCreepy Nutsの姿が強くにじむフレーズです。


    🎯 自分にしかできない立ち位置で勝つ

    実力を発揮し切る前に 相手の方がバックれてくらしい
    上がり切るハードル very happy

    Creepy Nutsのバトル的な強さを象徴するライン。
    自分たちが本気を出す前に、他が勝手に逃げていく。

    しかもそれを「happy」と笑いながら受け止めるあたりに、
    余裕すら感じさせる自己肯定があります。


    🏅 努力と運とセンスの結晶

    俺、パッと見出来ない事ばっかりだけど very happy
    恵まれてる家族友達(happy)
    皆俺に任せとけば良い(Bang Bang Bang)

    成功の裏側にある自分の弱さ・環境への感謝も描きつつ、
    最終的には「俺に任せろ」と自信満々に言い切るのが彼ららしさ。

    人に頼らず、自分の道を切り拓いてきた確信がこの歌詞に込められています。


    🎤 生き様=Bling & BangしてBornしてきた意味

    俺のままで Bling して Bang して Bang する為に Born して来たニッポン

    このラインはまさにタイトルの“Bling-Bang-Bang-Born”を回収するテーマの核心

    「光り(bling)、爆発し(bang)、生まれてきた(born)」
    それは単なるキャッチーな韻ではなく、
    生まれてきた理由が、自分らしく生き抜くこと」という哲学的な意味を持ちます。


    📝 まとめ|“普通じゃない”を武器に変えるアンセム

    「Bling-Bang-Bang-Born」は、
    “バグっているほどの才能”と
    “地に足のついたリアル”が共存した、
    Creepy Nutsの代名詞ともいえる自己紹介楽曲です。

    • 加工や脚色のない“生身”で戦う
    • 正攻法でなくても突き抜けていく
    • 周囲の評価ではなく、自分の芯を信じる

    そうしたメッセージに共感し、
    “自分もこのままでいいんだ”と思えるリスナーも多いのではないでしょうか。


    🔖 引用

    本記事はCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞をもとに構成した非公式の解釈記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「ちゅだい」|“ちゅーでい”の裏にあるリアルな本音と本能

    Creepy Nutsの「ちゅだい」は、
    表面的には軽快でリズミカルなパーティーチューンのようでいて、
    実は非常に多層的なテーマを持つ楽曲です。

    タイトルの「ちゅだい」は、“チューニング”と“主題”、“ちゅー(キス)”や“ちゅうだい(中台)”など、
    多義的な言葉遊びが込められたワードであり、
    現代の性欲・本能・情報過多な社会のカオスを巧みに表現しています。


    🎧 「ちゅでいちゅでいちゅーでい」=“合ってしまう”感覚

    ちゅでいちゅでいちゅーでい / 勝手に合ってまうチューニング
    この印象的なサビは、「気づけば同調している」「無意識に染まっている」
    という感覚をユーモラスに表しています。

    都市生活、SNS、夜の欲望…。
    “無自覚に”流されていく自分と、そこから抜け出せない滑稽さを感じさせます。


    💻 性と快楽のリアル描写

    FANZAプレミアム会員 / P-hub善治カミン

    ここで取り上げられているのは、現代人が簡単にアクセスできる性の世界。
    誰もがタブー視しながらも、心のどこかで“共犯者”であることに気づいている。

    だからこそCreepy Nutsはあえて言葉に出して笑い飛ばす
    それは自己肯定でも自嘲でもなく、「事実」をユーモアで包む知性なのです。


    🎥 都市と夜、快楽と虚無の交差点

    深夜のムービー 新宿バルトの9 / その前に二郎に並んで待機
    三角座りで泣いてるべっぴん / 視界の端にキャッチ

    新宿という街のリアル、二郎ラーメンの文化、映画館、そして“夜の住人”たち。
    描かれる情景は日常と非日常の間で揺れています。

    娘を泣かした場合 / リーアム・ニーソンに速攻で変身

    映画『96時間』の引用からもわかるように、
    ポップカルチャーと現実を行き来する視点がこの曲の魅力です。


    👠 欲望と装備、“アニマル”に戻るとき

    人のちゅだいを笑うなっちゅうに アニマルに戻る俺らの装備

    ここで言う「ちゅだい」は、欲望の主題=人間の本能的な側面を指しているように感じられます。
    夜になれば装備を変えて、獣のように本能で動く。
    それは滑稽でもあり、誰もが持っている普遍性でもあります。

    全欲望マシマシ

    “マシマシ”はラーメン二郎の用語。
    ここでは、欲望を隠さず、むしろ増幅して生きることの肯定に聞こえます。


    📝 まとめ|“ちゅだい”は、あなたの中にもある

    Creepy Nutsの「ちゅだい」は、
    卑猥なようでいて哲学的。
    バカっぽく見えて、社会の本質を突く。

    それは“ちゅーでい”なテンションで生きること。
    欲望もダサさも引き受けて、笑いながら突き抜けること。

    この楽曲は、そんな**“ちゅだい=本音の主題”**をラップで描き切った、
    現代人のためのカオス・アンセムです。


    📝 引用

    ※本記事はCreepy Nuts『ちゅだい』(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞を参考に構成された解説記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。

  • 【歌詞解説】Creepy Nuts「Japanese」|サムライもニンジャも居ない、それでも俺たちは“日本人”

    Creepy Nutsの「Japanese」は、海外が抱く日本人像のカリカチュア(誇張表現)に対して、
    「それは違う」と言いつつも、「でも、まぁそうかもな」と揺れるリアルなアイデンティティ
    を描いた異色の楽曲です。


    🥷 海外が思う“ジャパニーズ”像へのカウンター

    No samurai, no ninja, no harakiri / But I’m Japanese
    No karate, no sensei, no kawaii / But I’m Japanese

    繰り返されるサビは、海外で“日本”といえば思い浮かべがちなイメージへのツッコミです。
    Creepy Nutsはそれらをすべて否定しつつも
    「でも、それでも俺は日本人だ」と力強く宣言します。


    🎬 ハリウッドとリアルのズレ

    超大作ハリウッド映画の Nippon 描写はホント嘘みたい

    ここでは、海外映画での日本描写に対する冷静な指摘が見られます。
    「ありがたや」「ふんどしのボディガード」など、奇抜で非現実的なイメージが世界に出回っている現状に、
    「なんだかシラけるわな」と冷めた目線で語っています。


    💥 マイクとペンが“刀”の代わり

    おさむらいでは無いけど マイクとペン使って そっと落とし前

    サムライではなくても、ラッパーとして言葉で“落とし前”をつける
    ここにCreepy Nutsが大切にしてきた「言葉の力で世界を変える」というヒップホップ精神が詰まっています。


    🍛 魔改造と文化の発明力

    とは言っても俺らの味付け文化も相当やりたい放題
    カレーライスにラーメンカツ丼 レオパルドンまで発想無限大

    ここでは一転して、日本人自身が他国の文化を自由に解釈・再構築してきた歴史を振り返ります。
    それは「魔改造」とも言える大胆さであり、同時に柔軟で創造的な日本カルチャーの強みでもあります。

    New York の deli で頼んだパニーニ ついつい選んだテリヤキ
    “Teriyaki, are you Japanese?”

    このような何気ない日常のエピソードからも、アイデンティティの複雑さと笑いがにじみます。


    🎌 “日本人”の多様性を肯定する

    相撲レスラー (No!) small asian
    とーちゃんヤバい (But) こーわくない (Yes) ちゃぶ台返し(やさしい)

    「日本人=〇〇」という固定観念はもう通用しない。
    小さな枠には収まらない、多様な日本人の在り方をユーモアで肯定しています。


    📝 まとめ|“らしさ”の外でこそ、日本人である

    「Japanese」は、
    **“日本人とは何か”**という問いに対して、

    • ステレオタイプを否定しながら
    • ユーモアと愛情で受け入れ
    • そして**「それでも、俺は日本人」と誇る**

    そんなCreepy Nutsのスタンスが詰まった、
    アイデンティティ・アンセムです。

    サムライもニンジャも要らない。
    俺たちは、俺たちなりの“Japanese”。


    📝 引用

    ※本記事はCreepy Nuts『Japanese』(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞を参考に構成された解説記事です。
    歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。