Creepy Nutsの「中学22年生」は、
そのタイトル通り、「中学生マインドのまま22年生きてきた」自分たちを描いたセルフ・ドキュメンタリー的楽曲です。
過去曲「中学12年生」の続編ともいえる本作では、
人生の節目や重ねたキャリアを“変わらない自分たちの視点”から描き直すという、唯一無二の表現が展開されます。
🎙️ 冒頭の”ノリ”に込めた自己肯定と笑い
No Cap 髪振り乱して
ノーマークから大本命
No Fap とか未だに無理やけど
女には困って無いall day
冒頭から、R-指定らしい自虐×ハッタリ×韻の応酬。
「No Fap(禁欲)」すら冗談交じりに放ちつつ、
HIPHOPの持つセルフボースト(自己賛美)文化と、日本的な笑いが融合しています。
HIPHOPの女神に嫌われても
俺、RAPの女神に愛されてる
このラインには、型破りなやり方でも、結果を出せば道は開けるという強烈な信念がにじみます。
📚 成績1の音楽少年がビルボード1位へ
音楽の成績1やけど
ビルボードで1位を獲る人生
学校では落ちこぼれでも、人生の本番では勝者に。
この逆転劇は、「中学22年生」という発想とあいまって、人生のリアルと皮肉が見事に交差しています。
奨学金は借金で
住宅ローンは35年(実家!)
一括でpayしてやったぜ
この「地に足ついた現実」と「あり得ない成功」が混ざるテンションは、
Creepy Nutsの魅力そのものと言えるでしょう。
🔁 14歳の衝動をそのままに、世界へ
14歳のハローワークyeah
10年後に食え出して(ダンジョン)
20年後に世界中で(Bling)
テレビ番組「フリースタイルダンジョン」でのブレイク、
「Bling-Bang-Bang-Born」での世界的ヒットを振り返りながらも、
その始まりは“14歳の衝動”だったことを絶対に忘れない姿勢が描かれています。
漫画のプロットならボツなってる
あまりにもベタ過ぎて(ないない)
人生がドラマチックすぎて“嘘みたい”だと語るラインは、
リアルに生きたからこそ言える言葉です。
✍️ ディスへの向き合い方にも、成熟がにじむ
俺できればビーフはやりたくねー
ボクサー一般人殴らへん
これまでも数々のディスや論争の的になってきたR-指定。
そのうえで「できれば争いたくない」というスタンスは、
単なる強がりではなく、**成熟した“戦わない強さ”**に見えます。
お前より俺を上手くdisれる
ゴーストライターやったろか無料で
この痛烈なラインも、ユーモアと余裕の塊です。
🌍 世界に飛び回る“中学生”
台湾から次LA
KoreaからNYへ
経験値とマイルが貯まってく
次はお前の国へ
ワールドツアーを重ねる中でも、根底には「中学ノリ」が流れている。
“大人になったようで、なりきれていない”、そんなギャップがCreepy Nutsの真骨頂です。
🎡 最後の一節にも、飾らない日常
New Verseをこしらえて(自画像)
週末はUSJ行こうぜ
中学22年生
ステージでの新曲も、自分の似顔絵のようなもの。
そんな自己認識を持ちながら、週末はUSJで遊ぶ。
このラストにこそ、**Creepy Nutsという存在の“リアル”と“等身大”**が凝縮されています。
📝 まとめ|変わらず進む、青春の延長戦
「中学22年生」は、人生の荒波を越えてきたCreepy Nutsが、
なおも「自分たちのスタンス」を信じ続ける姿勢を描いたセルフ・ポートレートです。
- 売れても
- 年を重ねても
- 世界に出ても
“中学ノリ”は失わない。
だからこそ、彼らの音楽は笑えて泣けて、胸を打つのです。
📝 引用
※本記事はCreepy Nuts『中学22年生』(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞を参考に構成された解説記事です。
著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。
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