【韻解説】Creepy Nuts「doppelganger」── “俺”と“お前”が交錯する二重構造ライム

Creepy Nutsの「doppelganger」は、“自分そっくりな存在”というテーマを軸に、
一人称と二人称を行き来する視点の切り替えと、反復を多用した韻構造で緊張感と中毒性を生み出す楽曲です。

今回は、この曲に仕込まれた韻のテクニックとテーマ性のリンクを解説します。


🔁 冒頭から自己対話型の反復ライム

聞いてっか? オレ 見えてっか? オレ
生きてっか? オレ 死んでっか? オレ
イッテェなオレ 機嫌斜め ごめんなオレ
人間離れ 消えてったオレ 散ってったオレ

  • 「聞いてっか/見えてっか/生きてっか/死んでっか」
     → 母音「i e a」が共通し、畳みかけるような連続脚韻を形成。
  • 「オレ」で必ず落とす構造により、“自分との対話”感が強調される。
  • 動詞+「オレ」の繰り返しは、リズムの骨格とテーマの両方を支える。

🧠 意味の対比と韻を同時に成立させる

新鮮なオレ ヴィンテージなオレ
知ってっかオレ うっせーなオレ しつけーなオレ

  • 「新鮮/ヴィンテージ」など意味的に反対の語を並べつつ、語尾の「なオレ」を固定。
  • 対比の面白さと、韻の安定感を同時に獲得している。

🔥 内部韻×高速フローのパターン

やったらめったら MADなメンタル ヤンデレ目なBRAIN
イキったライバル皆 青ざめてった 真っ赤な目が点

  • 「MADなメンタル/ヤンデレ目なBRAIN」
     → 「め/な/ん/た/る」など中間音も意識した内部韻
  • 「青ざめてった/目が点」では、色(青/赤)×動作で意味のコントラストを生み、韻の面白さが増す。

🌌 キーワード「俺お前のドッペルゲンガー」の役割

俺お前のドッペルゲンガー

曲中で繰り返されるこのフレーズは、フックの役割と構造的リズムの支点を兼ねています。
周囲の行から見ても、前後の韻の流れをブレさせずにサビのように着地させるポイントになっています。


💥 意味を崩さない緩いライム

しゃにむに働けっから 三度の飯より
ガンバレ paper chase
穿った目ん玉しか持ってねーヘイター
あんたら目掛け 往復ビンタ
ぶっ飛ばしちゃうアンドロメダへ

  • 「paper chase/ヘイター/目掛け」など、完全一致ではないが母音の連続性(e a / e i a / e a e)でつなぐ。
  • 固有名詞やスラングも混在し、ラフな韻感覚を残すことで攻撃的なニュアンスを保つ。

🪞 鏡と二重性の韻設計

俺がオモテ お前がウラ
お前オモテで 俺がウラ

  • 「オモテ/ウラ」を反転させて並べることで、意味的二重構造を音でも表現。
  • ドッペルゲンガー=二重存在という曲のコンセプトを、韻の並べ方そのもので表している。

🎯 再帰的構造で締める後半

後半では、冒頭に登場した

やったらめったら MADなメンタル ヤンデレ目なBRAIN

が再登場。
これにより、曲全体に円環構造が生まれ、「自分と向き合う無限ループ」というテーマを韻で補強しています。


🔚 総評:「doppelganger」は韻そのものがテーマ表現

  • 同じ語尾(オレ/ウラ/ドッペルゲンガー)を軸に反復
  • 意味の対比(新鮮/ヴィンテージ、オモテ/ウラ)と韻を同時に成立
  • 固有名詞やスラングで緩急をつけ、攻撃性とユーモアを共存

R-指定は、韻を単なる音の快感だけでなく、“自分と他者の境界が揺らぐ”感覚を描く表現手段として使っています。
「doppelganger」は、その音と言葉の構造自体が二重性を体現している一曲です。


🎤 あなたの“ドッペルゲンガー的存在”は誰ですか?
コメント欄で教えてください!

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