Creepy Nutsの「Japanese」は、海外が抱く日本人像のカリカチュア(誇張表現)に対して、
「それは違う」と言いつつも、「でも、まぁそうかもな」と揺れるリアルなアイデンティティを描いた異色の楽曲です。
🥷 海外が思う“ジャパニーズ”像へのカウンター
No samurai, no ninja, no harakiri / But I’m Japanese
No karate, no sensei, no kawaii / But I’m Japanese
繰り返されるサビは、海外で“日本”といえば思い浮かべがちなイメージへのツッコミです。
Creepy Nutsはそれらをすべて否定しつつも、
「でも、それでも俺は日本人だ」と力強く宣言します。
🎬 ハリウッドとリアルのズレ
超大作ハリウッド映画の Nippon 描写はホント嘘みたい
ここでは、海外映画での日本描写に対する冷静な指摘が見られます。
「ありがたや」「ふんどしのボディガード」など、奇抜で非現実的なイメージが世界に出回っている現状に、
「なんだかシラけるわな」と冷めた目線で語っています。
💥 マイクとペンが“刀”の代わり
おさむらいでは無いけど マイクとペン使って そっと落とし前
サムライではなくても、ラッパーとして言葉で“落とし前”をつける。
ここにCreepy Nutsが大切にしてきた「言葉の力で世界を変える」というヒップホップ精神が詰まっています。
🍛 魔改造と文化の発明力
とは言っても俺らの味付け文化も相当やりたい放題
カレーライスにラーメンカツ丼 レオパルドンまで発想無限大
ここでは一転して、日本人自身が他国の文化を自由に解釈・再構築してきた歴史を振り返ります。
それは「魔改造」とも言える大胆さであり、同時に柔軟で創造的な日本カルチャーの強みでもあります。
New York の deli で頼んだパニーニ ついつい選んだテリヤキ
“Teriyaki, are you Japanese?”
このような何気ない日常のエピソードからも、アイデンティティの複雑さと笑いがにじみます。
🎌 “日本人”の多様性を肯定する
相撲レスラー (No!) small asian
とーちゃんヤバい (But) こーわくない (Yes) ちゃぶ台返し(やさしい)
「日本人=〇〇」という固定観念はもう通用しない。
小さな枠には収まらない、多様な日本人の在り方をユーモアで肯定しています。
📝 まとめ|“らしさ”の外でこそ、日本人である
「Japanese」は、
**“日本人とは何か”**という問いに対して、
- ステレオタイプを否定しながら
- ユーモアと愛情で受け入れ
- そして**「それでも、俺は日本人」と誇る**
そんなCreepy Nutsのスタンスが詰まった、
アイデンティティ・アンセムです。
サムライもニンジャも要らない。
俺たちは、俺たちなりの“Japanese”。
📝 引用
※本記事はCreepy Nuts『Japanese』(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞を参考に構成された解説記事です。
歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。
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