【歌詞解説】Creepy Nuts「のびしろ」|大人になれないまま“大人になっていく”僕らへの成長賛歌

Creepy Nuts『のびしろ』の歌詞解説アイキャッチ画像。未完成な大人の成長をテーマにした記事のヘッダー画像 歌詞解説

Creepy Nuts「のびしろ」は、大人になる途中で誰もがぶつかる “自分の扱い方” を、リアルでユーモラスに描いた成長ソングです。

10代の頃は「悪いこと」「弱さ」「怠け」だと思っていた行動が、社会に出ると “必要な技術” に変わっていく。そんな価値観の変化を肯定し、未熟な自分を「のびしろ」と言い切ってくれる温かくて力強い1曲です。

bpmの軽快さとR-指定の語り口が絶妙にマッチし、「焦っていた若い頃」と「肩の力が抜けた今」のコントラストが綺麗に描かれているのが特徴です。

大人になり切れないまま、大人になっていく──そのグラデーションの中で迷い続ける僕らの背中を、そっと押してくれる作品です。


🌀 1. サボる・逃げる・甘える——全部「大人の技術」だった

「サボり方とか 甘え方とか 逃げ方とか 言い訳のし方とか」

曲冒頭から並ぶワードは、10代で “禁止” されたものばかり。

部活でも学校でも、こんなふうに言われてきました。

  • 「逃げるな」
  • 「サボるな」
  • 「甘えるな」
  • 「言い訳するな」

でも社会に出ると、話はまるで違う。

  • 逃げられなかったせいで心が折れる
  • サボらなかったせいで体を壊す
  • 甘えられずに抱え込みすぎる
  • 言い訳できずに自爆する

“全部禁止” は、むしろ危険なのが大人の世界です。

だからこそ R-指定 は、これらの行為を「覚えた」と語り、むしろ大人になるためのスキルとして肯定する。

「やっと覚えて来た 身につけて来た 柔らかい頭」

柔らかい頭とは、「逃げるほうが得なときもある」という判断ができること。

これは決して“ズル”ではなく、自分を守りながら前に進むための戦い方。 むしろ “真正面から突っ込むしか知らない若さ” から卒業した証でもあります。


🎭 2. カッコつけることも、年齢とともに身につく「技」になる

「カッコのつけ方 調子のこき方 腹の据え方 良い年のこき方」

10代にとっての “カッコつけ” は、ただの見栄の話です。

でも大人にとっての “カッコつけ” は、

  • 不安を悟らせないための演技
  • 場を丸く収めるための演出
  • 責任を背負うときの覚悟

つまり「社会で生きるための処世術」になります。

「良い年のこき方」という言い回しには、

  • 若さが失われた自分への自虐
  • それでも何とかやっている自分への肯定

が同居しています。

こういう“苦味のある等身大”こそ、Creepy Nutsの歌詞が幅広い世代に刺さる理由です。


🏙️ 3. スカイツリーと東京タワーの“あいだ”に立つ:人生の現在地を歩く比喩

「左手にスカイツリー 右手に東京タワー 俺はその真ん中」

東京の象徴を左右に見ながら歩く——この情景が示しているのは、

  • 過去と未来のちょうど真ん中にいる自分
  • 何者にもなり切れていない“過渡期”
  • でもその中途半端さが、実は一番リアル

ということです。

社会に出ると、自分の現在地が曖昧になります。

「まだ成長途中なのか?」 「もう終わりかけているのか?」 「どこへ向かっているのか?」

そんな迷いを抱えながらも、東京の真ん中を歩いている自分は、たしかに前進している。

この風景の比喩は、R-指定の“自己観察のうまさ”がよく出ている部分です。


💡 4. 大人の成長とは「強くなること」ではなく「幅が広がること」

「他人に期待をしないのが今の俺の強み」

大人になると、期待は裏切られることが多い。

  • 頼った人が裏切る
  • 信じた会社が守ってくれない
  • 理想の自分と現実の自分が合わない

でも、だからこそ学べる。

「他人に期待しすぎない」 「自分に過剰に期待しない」

このバランスこそが、大人の強さです。

「手負いでも進める距離なら行くぜ 騙し騙し」

大人になると“完璧な状態”なんてほとんどありません。

  • 眠れてないまま仕事に行く日
  • 精神が不安定なまま進まなきゃいけない日
  • モチベがゼロでもやらなきゃいけない日

それでも “動ける範囲だけ動く”。 この“騙し騙し”こそが、現実の大人の強さであり、成長です。


🧠 5. 「のびしろ」という言葉の魔力:未熟さを希望に変えるスイッチ

「覚えたい事が山のようにある…のびしろしか無いわ」

人生が進むほど、人間は“出来ないこと”の多さに気づいていきます。

でも R-指定 は、それを「のびしろ」と呼ぶ。

未熟であることを恥じるのではなく、 「これだけ楽しめる余白がある」と捉える。

この価値観の転換こそが、Creepy Nutsの強みです。

そしてこの言葉がライブで叫ばれるたび、 “自分もまだ伸びられる” という希望が湧いてくる。

“完璧じゃないままで生きていいんだ” そんな安心感をくれるフレーズです。


🏃 6. 「19歳の焦り」より、今の自分が清々しい——焦燥から脱した大人の余白

「19の時の『ついに来たか…』より もっと清々しい気持ち」

10代の頃は、焦りだけが先行します。

  • 「早く結果を出さなきゃ」
  • 「何者かにならなきゃ」
  • 「置いていかれたくない」

でも20代後半、30代になると気づく。

  • 自分のペースでいい
  • 焦っても成長は速くならない
  • “積み重ね”が一番効く

この曲には、大人になったからこそ言える“肩の力の抜け方”がある。

昔の自分より、今の自分の方が清々しい。 それは決して成長の終わりではなく、“成熟の始まり”です。


🏙️ 7. 東京タワーとスカイツリーの再登場——今度は「頼れる背中」としての自分

「重なるスカイツリー 東京タワーと真ん中の頼りない背中」

後半で再びこの東京の風景が描かれます。

ただし前半との違いは、 “自分の背中がそこに存在している”ということです。

頼りないけれど、確かに前に進んでいる。 昔なら立ち止まっていた景色を、今は歩けている。

この部分はまさに “大人の成長の象徴” と言えます。


🌱 8. 大人の成長は“完成”ではなく“更新”である

この曲が伝えているのは、

大人になるとは「完成する」ことではなく、「更新し続ける」こと

という価値観です。

  • 今日より明日がちょっとラクになっていく
  • 昨日より今日がちょっと上手くなる
  • 未熟なまま進む日々が“成熟”を生む

この考え方は、仕事でも恋愛でも自己肯定でも使える “万能の言葉” です。

のびしろとは、伸びる可能性ではなく、伸びる準備ができている状態のこと。


📝 9. まとめ|未熟な自分を抱えたまま進める。それが大人の「のびしろ」

Creepy Nuts「のびしろ」は、

  • ダサい
  • 不器用
  • うまくいかない
  • すぐ疲れる
  • 完璧になれない

そんな “等身大の自分” を責めずに、むしろ肯定してくれる曲です。

大人になるとは、 弱さを捨てることではなく、 弱さと共存しながら前に進む術を覚えていくこと。

未熟なまま進んでいい。 その“未熟さ”こそが、あなたののびしろだ。

この曲は、焦りながら大人になっていく僕らに寄り添い、 これからの人生に少しだけ光を与えてくれる成長賛歌です。



📝 引用について

本記事は Creepy Nuts『のびしろ』(SME Records)の歌詞を参考に構成されています。
歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。


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