Creepy Nutsの「のびしろ」は、タイトルの通り、
自分自身の未熟さや不完全さを“伸びしろ”と呼び肯定するメッセージが込められた楽曲です。
完璧じゃなくていい、失敗してもいい、それが「今の自分らしさだ」と言い切る強さに、多くのリスナーが共感を寄せています。
■ 覚えてきた「だらしなさ」こそが、自分らしさ
冒頭のフレーズ
サボり方とか 甘え方とか 逃げ方とか 言い訳のし方とか
やっと覚えて来た 身につけて来た 柔らかい頭
は、社会の中で“理想の大人”に近づこうと努力しながらも、
無理をせず、自分を守る「逃げ方」や「緩さ」を受け入れてきた過程を描いています。
「カッコのつけ方」や「良い年のこき方」といった表現には、
“成長”ではなく“慣れ”に近い、リアルな歳の重ね方がにじみ出ています。
■ 憧れと現実の間での気づき
中盤の印象的なパート
隅田川にかかる 勝鬨橋を渡る
左手にスカイツリー 右手に東京タワー
俺はその真ん中
この描写には、
過去に夢見た場所(東京)で、現実を生きる自分の姿が映し出されています。
憧れた“誰か”と肩を並べているようで、
実はまだ何もつかみきれていないような、宙ぶらりんな不安と覚悟が交差しています。
■ 成熟とは「大人気なさ」すら使いこなせること
終盤の
やっと「大人気ない」が出来る年
小さな枠組み ただの数字
縛られずにでも腹くくり
というラインは、大人になることへの“受け入れ”と“諦め”のバランスを表しています。
枠組みにとらわれずに生きる一方で、責任は取る。
その葛藤を経た先にある「のびしろ」が、Creepy Nutsの目指す“かっこよさ”なのかもしれません。
■ まとめ|「成長」じゃなくて「余白」でいい
「のびしろ」という言葉には、
未完成であることの美しさと、
それでも前に進んでいこうとする意志が詰まっています。
Creepy Nutsの音楽に貫かれている“等身大の強さ”を、
この曲ほど真っ直ぐに表現している楽曲はないのではないでしょうか。
📝 引用
※本記事はCreepy Nuts『のびしろ』(Sony Music Labels, 2020年)の歌詞を参考に解説を行っています。
歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。