Creepy Nutsの「通常回」は、
何気ない毎日が、実は人生のクライマックスだった――
そんな感覚を丁寧にラップで描き出した一曲です。
タイトルの「通常回」は、アニメやドラマで使われる「非特別回」を指す言葉ですが、
この楽曲ではそれが真逆の意味で繰り返されます。
それは「毎日がクライマックスで、最終回みたいに全力だ」という、Creepy Nutsらしい生き方そのものです。
■ 冒頭の繰り返しが示す“張り詰めた日常”
毎日クライマックス最終回みたいな通常回
手に汗を握る出番の十秒前
このフレーズは、曲中何度も繰り返されます。
まるで呪文のように繰り返されることで、
緊張感のある日常=ステージに立ち続ける人生を象徴しています。
特別な一日じゃない。でも、一日一日が本番。
そういう気概で毎日を生きていることが、強く伝わってきます。
■ 音楽との出会い、狂った14歳の原点
人生変えたんはあの日フラッと入った牛丼屋
有線で流れた衝撃 即走った TSUTAYA
J-rap コーナー棚にズラリ並んだスーパースター
このパートでは、R-指定自身がJ-RAPに出会った中学生時代の記憶が描かれます。
ふとした瞬間に音楽と出会い、人生が激変する。
それは誰にでも起こることではないけれど、「あの日からすべてが始まった」という確信が、淡々と語られています。
アンタらのおかげ 狂った14歳
Creepy Nutsの原動力が、“狂気と衝動”のまま今日まで続いていることが分かる一節です。
■ ライブ、ラジオ、別れ――すべて“通常回”
ばーちゃん見送ったその足で生放送オールナイト
あのラジオみたい サラッと逝きたいかも最終回
岡山のライブ終わって向かった尼崎
友達の棺桶 手に残った重みが消えない
この部分では、日常の中にある死と別れを受け入れながら、
それでも「通常通り」に舞台に立ち、声を出し続けてきた姿勢が描かれています。
人生にとって重大な出来事さえ、「通常回」として過ごすこと。
それは無感動ではなく、感情を抱えたままでも前に進む強さの証明です。
■ 世界を飛び回っても、“やることは変わんない”
LAの太陽 ベニスビーチ スケートパークの前
気持ち良いこの日差し どこでも吸うとんな
香港 New York 韓国 どこに居たって通常回
ターンテーブルとマイク やる事は変わんない
このパートでは、海外遠征を含む多忙な日々が語られます。
ただし、どこにいても変わらない自分たちのスタイルを貫いている姿が印象的です。
「海外ライブ」や「東京ドーム」も特別扱いせず、
“いつも通りにやる”ことの価値がこの曲の核となっています。
■ クライマックスであり続ける理由
Ain’t no 流行歌 ain’t no 宗教家
ただ一人のラッパー 音の上にずっと居たい
Creepy Nutsが求めているのは、
流行に乗ることでも、誰かを導くことでもなく、
「自分のスタイルで音の上にいること」そのものです。
派手な演出や言葉はいらない。
ただ「通常回」を積み重ねた先に、誰かの心に残るクライマックスがある――
それが、この曲のメッセージです。
■ まとめ|“いつも通り”を貫くことが最高に熱い
「通常回」は、Creepy Nutsの音楽人生そのものをラップで描いた曲です。
それは派手な成功やバズよりも、
積み重ねた一日一日がクライマックスだったと気づかせてくれる名曲です。
どんな場所でも、どんな日でも、ステージの上で「いつも通り」を貫く。
その姿勢に、多くの人が心を動かされるのではないでしょうか。
📝 引用
※本記事はCreepy Nuts「通常回」(Sony Music Labels, 2024年)の歌詞を参考に構成した解説記事です。
歌詞・音源の著作権はアーティストおよび関係各社に帰属します。
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